診療も“ドライブスルー” 佐賀県内の病院、薬局で利用増 患者負担や感染リスク軽減


佐賀県内の地域の病院で、車に乗ったまま窓越しに診察ができる「ドライブスルー方式」に注目する動きがある。当初は高齢者らの負担軽減などが目的だったが、新型コロナウイルスの感染リスクを抑えられることもあり、薬局も含めて患者の利用が広がり始めている。県内でも新型コロナの感染患者が確認され始めた今年3月、佐賀市の「クリニック新生」は新規移転に合わせ、ドライブスルー診療の体制を整えた。八次浩幸院長(54)は以前から、インフルエンザなどの感染防止対策に加え、足に痛みのある高齢者や発熱などの倦怠感がある患者の負担を軽減しようと、導入を検討していたという。患者は車に乗ったまま専用の窓口で受付をした後、体温や血圧を測り、問診も窓越しになる。注射などの処置も受けられ、処方箋をもらうまでを車内で済ませられる。車内で待機できる専用の駐車場もある。今年春以降の新型コロナの流行で、医療現場では院内感染防止や患者の受診控えなどが課題になっているが、八次院長は「ドライブスルーなら他の患者との接触はなく、感染リスクを抑えられる」と説明する。症状次第では設備の整った院内での診療が必要なケースもあるが「すぐに院内での処置に切り替えることができる」との利点もあるという。ドライブスルーを取り入れている薬局でも、コロナ禍で利用が伸びている。佐賀市内と福岡県の計4カ所でドライブスルーを併設する薬局を経営する溝上薬局では、コロナ以前と比べて利用する患者が1~3割ほど増えたという。佐賀市の「ピース薬局ドライブスルー夢咲店」でも、来店者の8割近くにまでドライブスルーの利用者が増加した。新規の利用にもつながっており、管理薬剤師の内川拓也さん(34)は「薬局側としても従業員を感染から守れる」と話す。ただ、ドライブスルーを導入している病院はまだ少ない。施設や設備の整備に一定の費用も必要で、八次院長は「高齢化が進む中で患者のニーズは感じている。補助金など行政の後押しがあれば、さらに広がるのではないか」と述べた。(森田夏穂)

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