阪大とニコンが研究支援施設 最先端顕微鏡で動物の細胞内観察 遠隔操作も可能


大阪大と光学機器大手のニコンは1日、阪大吹田キャンパス(大阪府吹田市)に最先端の光学顕微鏡を備えた研究支援施設「大阪大学ニコンイメージングセンター」を開設した。ニコンによる同様の施設は世界で10カ所目だが、生きている動物の細胞内を観察する「生体イメージング」を中心に位置付けた施設は初めて。新型コロナウイルスの感染拡大を受け、遠隔で顕微鏡を操作して観察するシステムも11月に運用を始める。ニコンイメージングセンターは2001年11月、米ハーバード大に初めて設けられ、国内では12年に北海道大にできた。これまで、英独仏伊とシンガポールを合わせた7カ国に9カ所あった。阪大の医学部臨床研究棟1階に設けられたセンターは広さ200平方メートル。麻酔をしたマウスなどの細胞を観察できる多光子顕微鏡2台や、シャーレで培養中の細胞の変化などを調べられる顕微鏡など、計5台の顕微鏡が設置された。阪大だけでなく、他の大学の研究者や学生も最新の画像解析技術を使って研究できる。阪大は専任の技術職員を新たに雇用し、ニコンも専門知識を持った社員を派遣して技術指導をする。センター長は、ニコンと協力し、骨を溶かす「破骨細胞」が生体内で働く様子の観察に世界で初めて成功した阪大医学系研究科の石井優教授(免疫細胞生物学)が務める。9月30日の開所式で石井センター長は「生体イメージングは今後どんどん伸びていく分野。多くの人に利用していただき、我々が想像していなかったような新しい技術が生まれる場所になってほしい」と話した。【松本光樹】

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