新型コロナ、道内病院困窮 一般病床休止で減収億単位 受信控え、医療資材高騰も


新型コロナウイルスの感染拡大で、通常診療を縮小するなどした道内の病院が大幅な減収・減益となり、苦境に立たされている。億単位で収入が減った医療機関も目立ち、医師や看護師の賞与を半減する民間病院もある。政府は補正予算に経営支援策を盛り込んだが、多くは4月以降の減収や経費が対象。感染拡大が他地域より早く2月から対応を続けてきた道内の医療関係者は「地域の実情に合った支援策を」と訴える。「医療崩壊を避けるため踏ん張ってきたが、経営への負担は大きい。対応にも限界がある」。救急医療を担い、新型コロナ感染者を受け入れてきた札幌市内の病院幹部は語気を強める。この病院は3月以降、月2億円前後の減益が続く。新型コロナ患者に対応する医師、看護師をやりくりするため、一般病床50床の診療を停止し、4、5月は緊急以外の手術も取りやめたため、診療報酬が大幅に減った。■陰性なら損失政府は4、6月に成立した補正予算で、新型コロナ患者の受け入れ病院への経営支援策を決めた。一般病床休止による収入減の補助や、受け入れのための設備費の補助、新型コロナ重症患者の診療報酬の3倍引き上げなどが盛り込まれた。だが、陽性が疑われた患者がPCR検査で陰性だった場合、増額はほとんどない。病院幹部は「陰性でも結果が出るまでは専用病床での入院など、特別な対応が必要。そうした患者を受け入れるほど損失が出てしまう」と嘆く。冬場のインフルエンザ流行期は、発熱など新型コロナ感染を疑う患者の増加が予想され「経営が圧迫される」と警戒する。またこの病院は2月下旬から新型コロナ患者を受け入れてきたが、経営支援は4月以降が対象。患者の動線を分ける仕切りなどの設置に数千万円かかったが、2~3月に工事したため、補助されないという。道内では新型コロナ患者の受け入れ可能な病床が約700床確保され、多くは公立病院が受け入れている。このうち12床がある苫小牧市立病院は4、5月の収入が前年同期に比べ1億9200万円の減。6月以降も減収が続いている。同病院は、道の要請で4月に感染症病床を4床から12床に拡大したのに伴い、一般病床92床を休止した。これまでに受け入れた感染患者18人は全員退院したものの、感染の第3波に備えて休止を継続している。同病院は「政府の支援でこれまでの減収分はある程度、穴埋めできそうだが、継続的な支援を得られるか不安がある」とする。

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