郡山市安積町で精神疾患などを診療する「あさかホスピタル」に、自傷行為や適応障害などで心の治療が必要な子どもが入院する「児童思春期病棟」が設けられた。来年一月から本格稼働する。県内初の整備で、これまでの外来に加えて入院機能を整え、長期的な治療が可能となる。全国的に増加傾向にある精神疾患を抱えた子どもを受け入れ、治療する新たな地域医療の拠点として期待が高まる。二十歳未満の主に中高生が対象で、病床数は全室個室で二十九。精神科医や心理士、作業療法士らが時間をかけて患者の心のケアに当たる。棟内には患者同士で交流できる食堂や、光や音で安らぎを与える空間「スヌーズレンルーム」などを設けた。入院中に児童、生徒に学習の遅れが出ないようにするため学校の教室機能も備える。義務教育の実施に向け、県と調整を進めている。同病院によると、発達障害や自閉症、うつなど心の病で受診する若者の数は増えており、こうした需要の高まりを背景に、外来に加えて入院が可能な病棟を開設した。県が県立矢吹病院(矢吹町)を建て替えて整備する「こころの医療センター(仮称)」にも、精神疾患を抱える未成年の入院治療に対応する病床を新設する計画で、子どものメンタルヘルスへの医療体制の整備が県内でも進んでいる。あさかホスピタルの佐久間啓理事長・院長は「(不登校などになった)患者がしっかり日常生活に復帰できるよう、地域と連携しながら治療していきたい」と話した。■官学民連携目指す 竣工式で佐久間理事長児童思春期病棟を含むあさかホスピタルの新棟「森の棟」の一期工事が完了し、二十日、郡山市の現地で竣工式が行われた。約百三十人が出席した。佐久間啓理事長・院長が「行政や学校と連携を強めながら運営していきたい」とあいさつした。品川萬里郡山市長、山崎学日本精神科病院協会長らが祝辞を述べた後、関係者がテープカットした。福島民報社から荒木英幸常務郡山本社代表が出席した。新棟には他に、認知症の集中的な治療ができる病棟や透析センターなどを整備した。