ACミラン元トレーナーと元日本代表ドクター、クリニック開業


サッカー・イタリア1部リーグのACミランで約20年間メディカルトレーナーを務めた遠藤友則さん(59)=清水東高出=と、2002年日韓ワールドカップ(W杯)などで日本代表のドクターを務めた森川嗣夫医師(64)がタッグを組み、静岡市葵区に「上土整形外科・スポーツクリニック」を今夏開業した。世界を舞台に戦った経験を若い世代に伝えていこうと、新たな挑戦を始めた。
 遠藤さんはJ1清水のチーフトレーナーを務めた後、元イタリア代表FWマッサーロさんの仲介で20年前にACミランへ。世界的スター選手たちを間近で支えながら、地元静岡でのクリニック開業の構想を温めてきた。
 3年ほど前、遠藤さんは千葉メディカルセンター副院長だった森川医師にクリニックの院長就任を打診。「Jリーグや日本代表の医学的サポートは充実してきたが、下のカテゴリーや地方はまだ課題が多い」と森川医師も感じていた。2人の思いが合致した。
 同クリニックでは、医師による治療が終わった後も、本格的な練習ができるようになるまで選手をサポートする。施設内には診療室やリハビリ室だけでなく、スポーツジムや、はり・きゅう・マッサージの施術室も設けた。現在はコロナ禍のため使用制限しているが、いずれは遠藤さんが森川医師や理学療法士と連携し、さまざまな競技の選手の現場復帰を支えていきたい考えだ。けがの再発防止や、体づくりなどもアドバイスする。
 故郷への恩返しがしたいという遠藤さんは「選手は治療を受けても、歩けるようになっただけでは満足しない。走れるようになるまで寄り添うことができれば」と話す。
 森川医師は日韓W杯期間中、日本代表が拠点とした葛城ホテル北の丸(袋井市)で選手とともに決戦に備え、試合時にはベンチに入ってサポートした日々を忘れない。「セルフケアの重要性を知る選手だけが一流になれる」。治療を通じて、伝えていくつもりだ。

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