県と中核市の福島、郡山、いわき三市は、県内各地の診療所など百六十四医療機関で新型コロナウイルスの抗原検査やPCR検査を新たに実施できる体制を整えた。身近なかかりつけ医で初診から新型コロナの検査を受けられるようになり、県民の安心につながるとともに感染拡大の抑止が期待できる。十日、県庁で開かれた県新型コロナウイルス感染症対策本部員会議で県が明らかにした。県と中核市三市は県医師会と契約を結び、診療所など百六十四医療機関で新型コロナの検査の保険診療を可能にした。県北、県中、県南、会津・南会津、相双、いわきの全医療圏を網羅した。個別の医療機関名は非公表。検査費用の患者負担分は公費負担となる。県と中核市三市は引き続き管内の診療所などに検査協力を呼び掛けており、さらに増やしたい考え。発熱などの症状が出た人は、まずかかりつけ医に電話相談する。その診療所で検査が可能な場合は、医師が必要性を判断した上で抗原検査やPCR検査の検体採取をその場で実施する。検査できない場合は、別の医療機関を紹介する。抗原検査では十五~三十分で陽性か陰性かを診断するのが可能。発熱症状が同じインフルエンザの検査も併せて実施することで、より適切な診断、治療につなげられる。PCR検査の場合には、検体の唾液を採取し、県衛生研究所や中核市の保健所、民間検査機関に分析を依頼する。新型コロナの検査ではこれまで、かかりつけ医は患者の相談を受けたり、診察したりした上で帰国者・接触者外来や地域外来(発熱外来)を紹介し、検査は実施していなかった。インフルエンザの流行期となる秋冬には発熱患者の増加が想定されるとして、検査体制の強化が課題となっていた。県薬務課は「身近な診療所で検査ができるため県民の利便性が向上する。検査キットが不足しないよう業界に働き掛ける」としている。県医師会の担当者は「検査に協力する診療所に対し、感染防止対策に必要な資材の提供を県などに求めたい」と話している。