新型コロナウイルス感染症を巡り、静岡県内の休日・夜間1次救急センターで、今後流行期を迎えることが予想されるインフルエンザ検査を中止する動きが出ている。新型コロナとインフルは初期の症状が酷似していて見分けにくく、鼻腔や咽頭から検体を採取する際、患者の飛沫(ひまつ)が拡散し、医師や看護師に感染リスクが生じるためだ。一方、住民ニーズに応えようと検査態勢の維持に向けた議論もある。
「センターを輪番制で運営している地域の開業医らが感染すれば、本業の診療所運営にも多大な悪影響を及ぼす」。静岡市静岡医師会の福地康紀会長はそう説明する。同医師会は休日・夜間1次救急を担う市急病センター(同市葵区)で9月以降、発熱やせきなどの症状がある患者に対し、例年実施しているインフル検査を行わないことを決めた。県内では他にも少なくとも五つの医師会などが休日・夜間のインフル検査の中止を検討している。
静岡市急病センターは検査しない代わりに臨床診断の結果でインフル薬を処方する方針。発熱などの症状が残り新型コロナ感染の疑いがある場合は、かかりつけ医や帰国者・接触者相談センターに相談するよう呼び掛けるという。
一方、沼津市夜間救急医療センターは、新型コロナの感染動向を分析しながら検査態勢を見極める方針。相磯和由事務長は「ひとり親世帯など家庭事情によっては夜間帯の検査実施を求める人もいるだろう。医療現場の負担状況などを踏まえ、判断したい」と話した。