迅速派遣へ医療チーム クラスター発生施設支援、広島県が秋に発足


広島県は、新型コロナウイルスのクラスター(感染者集団)が発生した福祉施設や病院に派遣する独自の医療チームを今秋に発足させる。感染症の専門家に加えて、災害支援の訓練や経験を積んだ医師や看護師で構成する計画で、24日に県庁で研修をした。有事に強い人材を新型コロナ対策にも生かして即応性、継続性を高め、感染拡大を防ぐ。派遣元となる独自チームは、広島大病院(広島市南区)感染症科の大毛宏喜教授をリーダーに、6病院の医師や看護師計17人が所属する県の「感染症医療支援チーム」が司令塔となる。実際の派遣では、災害派遣医療チーム(DMAT)災害派遣精神医療チーム(DPAT)県看護協会(中区)の医師や看護師が加わる。具体的には、感染症医療支援チームは発生直後〜数日、施設内の区分けや現地職員の感染予防策を指導する。DMATは発生後〜1週間、現地対策本部の構築や感染者の搬送を担う。DPATは発生1日後〜1週間、心のケアにあたる。県看護協会の看護師たちは発生2、3日後から医療支援をする。クラスターの発生で派遣を受けたい福祉施設や病院は、新型コロナの感染者の受け入れ先を振り分ける県の調整本部に要請する。調整本部は派遣元チームと調整し、必要な医師や看護師を派遣する流れとなる。感染症医療支援チームは新型コロナで、クラスターが発生した施設に入って対応に当たったが、人数が限られる上、所属先の病院での仕事もあり、初動や継続した対応に課題があったという。県は今後、医療機関へ正式に派遣元チームへの協力を呼び掛け、10月ごろに医師や看護師の登録を始めると計画している。この日の研修には災害支援を担う医師や看護師80人が参加。広島大の久保達彦教授(公衆衛生学)が県内の「第1波」の教訓を解説するなどした。東広島医療センター(東広島市)のDMATで活動する森田悟医師(60)は「新型コロナも一つの災害。現地でのマンパワー不足の力になれる」と受け止めた。(宮野史康)

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