閉じこもることがリスク 対策徹底、介護予防サロン


「継続か休止か。正解はない中で、難しいかじ取りを迫られた」運動やリハビリの負担感が少ない介護予防事業「ショッピングリハビリ」を展開する健康関連企業・光プロジェクト(島根県雲南市木次町里方)の杉村卓哉社長(40)は、事業継続のため試行錯誤を重ねている。2017年9月、大型商業施設マルシェリーズ(同)に同社初の直営店「ひかりサロン雲南」を開店した。スタッフが利用者の自宅まで車で迎えに行き、サロンでノルディック・ポールを使った健康体操を行う。足腰の負担が軽減できる独自開発の「楽々カート」を使って、施設内で食品や日用品の買い物をしてもらい、家まで送るサービスを手掛ける。「10回のリハビリより、1回のお買い物!」をキャッチフレーズに、介護予防とともに買い物難民の救済、地域経済の活性化を目指して事業を拡大し、現在は雲南市内で65人の利用者がいる。「小さな場所に人を集め、効率良くサービスを提供する方法で日本の経済は回ってきた。もう、このモデルは終焉(しゅうえん)を迎えるだろう」社会的距離(ソーシャルディスタンス)の確保が叫ばれ、サービス業の理念が変化していく。ショッピングリハビリも、一度に10~15人をサロンに集めて体操する。利用する高齢者はインターネットになじみの薄い世代で、在宅のオンライン化には移行しにくい。4月上旬、島根県内で新型コロナウイルスの感染者が確認され、同月20日以降、断腸の思いでサロンを休止した。「運動せずに閉じこもっていてることが、転倒や認知機能の悪影響につながり、要介護状態になるリスクを高める」一人暮らしの利用者も少なくなく、社会的孤立への懸念が頭をよぎる。再開を念頭に、利用者へ電話や訪問で意見を聞いた。「皆さんに早く会いたい。外に出たい」「買い物ができない。冷蔵庫に何もありません」涙ながらに訴える利用者の声を聞き、5月中旬から換気がしやすいエレベーターホールで、時間と人数を減らして再開した。感染対策を徹底した上で7月中旬、再び店内に場所を戻した。雲南市木次町西日登の大島桂子さん(86)は「一人暮らしだから栄養に気を付けた食事を作らないといけない。送迎付きの買い物は助かる。ほかの参加者と趣味の話もできて楽しい」と喜ぶ。直後に雲南市内でも感染者が出て冷や汗をかいたが、営業は継続している。「介護予防は楽しく行うのが大切だ。状況に応じた最適解を見いだし、生きがいの場にしていきたい」ウイルスとの長期戦を見据え、杉村さんは力を込めた。

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