ADHDの眠気、遺伝子が影響か 浜松医大グループ研究


浜松医科大子どものこころの発達研究センター(浜松市東区)の高橋長秀客員准教授や土屋賢治特任教授らの研究グループが19日までに、ナルコレプシーと呼ばれる睡眠障害と発達障害の一つである注意欠如多動症(ADHD)の特性が遺伝的に関連していることを明らかにした。ADHDを有する人が日中に感じることの多い眠気は、体質として遺伝子の影響である可能性が高いことが示された。研究結果は米国の精神医学誌で発表した。
 研究は、同センターが出生から追跡研究をしている8~9歳の726人を対象に約650万カ所の遺伝子変化を解析し、睡眠障害と関連する遺伝子変化の度合いを表す「ポリジェニックリスクスコア」を計算した。同スコアが高いと、多動性・衝動性症状や不注意症状を測定する尺度の点数も高くなる傾向が示された。神経伝達物質「ドーパミン」に関与する遺伝子変化が、睡眠障害とADHDに共通していることも分かった。
 同センターによるとADHDは、じっとするのが苦手な多動性・衝動性症状や集中力の持続が難しい不注意症状が特徴で、18歳以下の約5%、成人の約2・5%に見られる。ADHDを有する人が思春期前後から日中に強く生じやすい眠気は、不規則な生活習慣や睡眠不足が原因だとして、学校や職場などで「怠けている」と誤解されるケースが多いという。
 高橋客員准教授は「ADHDを有する人の支援に携わる家族や教員、同僚などが眠気を体質だと理解し、より良い支援につなげてほしい」と話す。

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