岡山赤十字病院(岡山市北区青江)が今月から、香川県・直島に医師を派遣する県境を越えた離島医療の支援を始めた。365日24時間体制で島民の健康を守っている直島町立診療所の医師の負担を軽減するため、同病院の医師が月1回、夜間の当直に入る。今後、日中の診療応援も検討している。 島で唯一の診療所で常勤医は2人。平日は外来で1日70人ほどの患者を診察し、週に2回、訪問診療に取り組む。夜間は1日交代で当直をこなし、急患、入院患者らに対応する。 診療所の須藤雄也医師(34)は「当直の多さをどう解決するか模索していた時期に舞い込んできた吉報。月1回、重圧から解放される日があるのはありがたい」と喜ぶ。 直島の生活圏はフェリーで約1時間の高松市より、約20分の岡山県側。救急患者も約9割は岡山側へ搬送し、その半数近くを岡山赤十字病院が受ける。同病院医師と顔の見える関係を築けば、救急患者の受け入れ要請もしやすくなる。 昨夏、町と町議会が、岡山赤十字病院の辻尚志院長に支援を要望。対岸の玉野市にある同病院玉野分院の分院長で、神戸赤十字病院で救急医療に携わった横山祐二医師(38)の派遣が決まった。 当直応援初日の3日夕、島に着いた横山医師に、須藤医師が入院患者の電子カルテを見せながら引き継ぎ。横山医師は「年内には日中の診療も始めたい。専門の内視鏡検査でも協力できたら」と意気込む。小林真一町長は「医師確保には、島の診療所で仕事をしたいと思える環境づくりが不可欠。岡山赤十字病院との協力は、その大きな一歩になった」と話す。