介護費認め久留米市の賠償増額 特別支援学校誤嚥訴訟で福岡高裁判決


 給食の誤嚥(ごえん)で重い脳障害を負ったとして、福岡県久留米市立久留米特別支援学校に通っていた河村啓太さん(22)と家族が市などに計約1億9千万円の支払いを求めた訴訟の控訴審判決で、福岡高裁は6日、市に500万円の賠償を命じた一審福岡地裁久留米支部判決を変更し、賠償額を計約3800万円に増額した。学校事故への障害見舞金を支給する日本スポーツ振興センター(東京)への請求は一審に続き退けた。

 脳性まひで身体障害1級の認定を受けていた河村さんは中学部在籍中の2012年9月、担任教諭の介助で給食を食べていた際にのどに詰まらせて窒息。搬送されたが、心肺停止状態になり重い後遺症を負った。

 判決で山之内紀行裁判長は、学校側は河村さんの摂食状況や専門家の意見を踏まえ、家族に痰(たん)吸引など医療ケアの必要性を説明すべきだったと指摘。医療ケアで窒息を回避できた可能性が高いとして「説明義務違反と後遺障害には因果関係がある」と結論付けた。

 賠償額は、後遺症への慰謝料や将来の介護費を認定したことで、一審から大幅に増額した。

 一方、センターは学校事故の障害の程度に応じて見舞金を支給していると説明。後遺症は既存の障害と同一部位であることを理由に請求を棄却した。

 判決後の記者会見で、母和美さん(54)は「センターへの請求が認められず納得できない」と厳しい表情を見せた。久留米市は「主張が一部認められず遺憾。上告も含めて対応を検討する」。センターは「主張が認められたと理解している」とコメントした。 (鶴善行、平峰麻由)

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