当事者女性から意見聴取 子宮移植検討の日本医学会「希望する人が一定数いる」


子宮がない女性に第三者から移植し、妊娠・出産を目指す「子宮移植」の国内実施の是非を検討している日本医学会の委員会は12日、東京都内で会合を開き、生まれつき子宮のない病気「ロキタンスキー症候群」の女性3人から意見を聞いた。委員長の飯野正光・日本大特任教授は閉会後、報道陣に「生の声を聞き、非常に参考になった。移植を希望する人が一定数いるとの説明だった」と述べ、当事者の思いに理解を示した。委員会は今後、生体間で移植を行う場合、子宮を提供するドナーが負う摘出手術のリスクと、移植を受けて出産するレシピエント側が受ける利益のバランスを慎重に議論する。次回会合以降に検討内容をまとめ、関連する日本産科婦人科学会(日産婦)と日本移植学会に提示する方針。飯野委員長は「脳死者からの移植が本筋で、そちらを目指すべきだ。しかし、法律で認められておらず、いま移植を希望している患者が救えない」と語った。子宮移植はスウェーデンや米国などで実施され、複数の出産例がある。一方、心臓や肝臓のように生命維持を目的とした移植ではないため、倫理的な課題もある。国内では、慶応大チームが臨床研究の実施を目指している。日産婦は日本移植学会と倫理審査の参考となる指針を作ろうとしたが、論点が幅広いため、医学会に検討を委ね、昨年4月に議論が始まった。【渡辺諒】

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