「医療的ケア児・者」約2割、自力避難できず 電源確保急務 福岡県


人工呼吸器など日常的に介助が必要な「医療的ケア児・者」を巡り、福岡県の服部誠太郎知事は17日の県議会で、県内で人工呼吸器が必要な医療的ケア児・者の約2割が災害時に自力避難できない可能性があることを明らかにした。新政会の中村香月議員(久留米市・うきは市区)の一般質問に答えた。県が2022年度に実施した調査によると、県内の医療的ケア児・者271人のうち、「移動時の支援者を確保できている」と答えたのは205人(76%)だった。残り66人(24%)は避難所への自力避難が難しい可能性があり、介助者が車を運転できなかったり、避難所への移動には車の運転とケアが必要で介助者が1人だけでは対応できなかったりするケースが考えられるという。また停電に備え、人工呼吸器の外部バッテリーや自家発電装置を「所持している」と答えたのは210人(77%)だった。医療的ケア児・者にとって電源は「命綱」だが、自家発電装置は約15万円と高額。現時点で県の補助制度はなく、購入が難しい面があるという。県内の医療機関を受診している医療的ケア児(0~19歳)は約1300人。23年7月の九州北部大雨では久留米市の一部が停電しており、医療的ケア児・者の円滑な避難は喫緊の課題となっている。服部知事は答弁で、23年2月に立ち上げた県運営の「医療的ケア児等支援情報サイト」に災害の手引きを掲載したことを紹介し、「人工呼吸器を使用している方が円滑に避難できるよう取り組む」と強調。災害時の電源確保については「県医療機器協会を通じて医療機器販売業者に予備バッテリーの貸し出しなどの協力をお願いしている」と述べた。【城島勇人】

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