サルに新型コロナウイルス、人と似た症状に 滋賀医大が再現成功、ワクチン実験活用へ


新型コロナウイルス感染症について、滋賀医科大の伊藤靖教授(実験病理学)らの研究グループが29日、カニクイザルにコロナウイルスを感染させて人とよく似た症状を再現するモデルを確立させることに成功した、と発表した。人と近いサルを用いることでワクチンや治療薬の早期開発につながるといい、9月に東京都医学総合研究所と共同でワクチン投与実験を計画している。ワクチンなどの有効性と安全性を確認するには、人と近い症状を再現できる霊長類モデルでの実験が望ましいといい、カニクイザルで新型インフルエンザウイルスの病原性を解析した過去の実験方法を活用した。伊藤教授によると、国内で新型コロナウイルス感染症の動物モデルとしてサルの事例は初めてという。実験では同大学動物生命科学研究センターで飼育するカニクイザル計3匹全てをコロナウイルスに感染させることに成功。口や鼻からウイルスが検出され、39度台の発熱や肺炎、肺の血管中の血栓といった人と似た症状が見られた。感染したサルのうち1匹は、人と同じく感染を防ぐ中和抗体がつくられた。また、サル3匹から免疫細胞のTリンパ球のサイトカイン反応が出ており、中和抗体がない場合も回復するケースがあることが分かったという。伊藤教授らのグループは、タンパク質分解酵素を用いることで、新型コロナウイルスを効率的に培養したり、高感度で検出したりする方法などを特許申請したという。伊藤教授は「本年度内にカニクイザルでの動物実験を完成させたい」としている。

関連記事

ページ上部へ戻る