熱中症の予防対策と症状、回復方法…冷たい水を浴びせるのは逆効果


立秋を過ぎてもうだるような暑さが続く福井県内。福井市では2週間以上猛暑日が続き、高齢者を中心に熱中症疑いの搬送者が連日発生している。墓参りやレジャーなどで外出が増えるお盆も、適切な冷房の使用やこまめな水分補給、冷感グッズの活用といった対策をお忘れなく。▼冷房使用を体温の上昇により体内の水分、塩分のバランスが崩れ不調を来す熱中症。頭痛や吐き気、倦怠感などを引き起こし、症状が重いと発汗が停止し意識障害や心肺停止に陥ることもある。気温だけでなく湿度が高い環境でも起こりやすく、28度以上、湿度70%以上では特に注意が必要だ。⇒熱中症搬送1万人超、猛暑日続き福井市消防局によると、7月に熱中症疑いで搬送されたのは75人だったが、8月は7日現在で30人を超えた。75人のうち約6割を65歳以上が占め、自宅で症状を訴えた人も多い。中にはエアコンを使っていなかった人もいた。「冷房を適切に使ってほしい」と呼びかけるのは、同市消防局救急救助課の椙田浩幸さん(44)。高齢になると体温調整機能が低下するのに加え、近年の住宅は気密性が上がり屋内も高温になりやすい。「昔と同じ感覚で過ごすと危険な場合がある」と指摘する。⇒熱中症警戒アラートを分かりやすく解説▼回復体位搬送された人たちは▽屋外で農作業▽エアコンを使っていない寝室で就寝▽工場内で作業▽野球観戦-などをしていたという。室内ではエアコンを活用し室温、湿度を管理しつつ、屋外では▽こまめに水分、塩分を補給する▽ぬらしたタオルを首に巻く▽日傘を使う▽不要不急の外出は控える-などの対策が必要だ。症状が見られたら、まず風通しの良い日陰などに移動させ横たわらせる。楽な姿勢が一番だが、理想は「回復体位」。気道を確保し吐いた時の誤嚥を防ぐ体位で、伸ばした片腕に頭を置いて横になり、膝を地面に付け体勢を安定させる。冷たい水を浴びせるのは「毛穴が閉まり体温がこもってしまう」(椙田さん)ため逆効果。霧吹きで常温の水をかけ、うちわであおぎ、首や脇、足のつけ根など太い血管が通っているところを冷やすのが理想だ。県外では高齢者や中学生が死亡する事例も相次いでいて、椙田さんは「できる対策は当面続けてほしい」と話していた。▼一部品薄も県内の量販店は、冷感グッズがずらりと並ぶ特設コーナーをゴールデンウイーク前後から設置。外出時などに活用したいところだが、猛烈な暑さで飛ぶように売れ一部商品は既に完売しているという。MEGAドン・キホーテUNY福井店(福井市)では、7月以降一気に売れ行きが増加。冷やして首に巻く「ネッククーラー」は前年比1・6倍ほどの売り上げで、冷感タオルや冷却スプレーも人気を集めている。9月上旬まで売り場を構える予定で、加島孝剛副店長(44)は「暑さに加え、今年は新型コロナが落ち着き外出する人が増えたのも売り上げ増の要因」とみている。需要が続く一方、冷感グッズは季節商品のためメーカーが生産終了しているものも多いという。福井ロフト(同市)では完売した商品もあり、既に売り場を縮小。在庫限りの販売になっている。玉木淳美店長(38)は「今年は特に売れ行きが好調で、県外からも在庫の問い合わせがあった。早々に完売してしまうのではないか」とみている。

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