休日診療所「コロナかも…」風邪症状の対応手探り 施設余裕なく、感染対策進まず


新型コロナウイルスの感染拡大を受け、京都府の山城地域の自治体が設置している休日診療所が、コロナと区別がつきにくい風邪症状の患者対応で、受診前の電話相談を呼びかけたり、待合部屋を分けたり、試行錯誤している。一方、検査機能が不十分という課題が以前からあり、発熱症状で判断に迷う際は救急病院に診察を依頼するケースがある。宇治市役所向かいの「うじ安心館」にある同市休日急病診療所は内科と小児科、歯科を設ける。日曜や祝日、振り替え休日、年末年始の午前10時~正午、午後1時~同5時(歯科は同3時)に、事業委託する宇治久世医師会、宇治久世歯科医師会が派遣する開業医や勤務医らが診ている。

 市によると、本年度はコロナの影響で、受診者数が前年度から大きく減っている。内科と小児科の合計は、4月が18人(前年同月167人)、5月が59人(同262人)。感染リスクを懸念した市民らの受診控えに加え、府内でコロナ感染判明がピークを迎えた4月に同市が導入した「呼びかけ」も影響したとみる。

 発熱やのどの痛み、せき、鼻水など風邪症状で受診を希望する人には、事前の電話連絡を求め、看護師が様子を聞き取った。医師はその情報をもとに、1日2~3人は発熱外来がある総合病院や、帰国者・接触者相談センターにつないだという。

 市健康生きがい課は「発熱者とそれ以外の人の診察動線を分けるだけの施設面の余裕はなく、医師らの感染防護具も十分ではない」と、感染防止態勢に不安があると説明する。

 感染状況が落ち着いたとして、7月3日にこの呼びかけはいったん取り下げたが、「今後も状況に応じた対応を取る」(同課)とする。

 綴喜医師会に事業委託している京田辺市休日応急診療所は、マイカーで訪れた人には車内で待つように呼び掛けた。待ち合いスペースも、コロナ感染も考えられる発熱受診者と、発熱以外の受診者などで部屋を分けている。

 その上で、息苦しさや強いだるさ、高熱などコロナに顕著な症状がなければ発熱者も診ているが、「肺炎の有無を確認するレントゲンやCT(コンピューター断層映像)、採血などの検査設備がなく、救急病院につなぐこともあった」(市健康推進課)とする。

 宇治、城陽、八幡、京田辺、久御山、井手、宇治田原の7市町がエリアの山城北医療圏ではほかにも、城陽市と八幡市にも休日診療所があるが、検査設備は同様に不足気味だ。本年度予算額も宇治市が2700万円、城陽市が1600万円、八幡市が2600万円、京田辺市が2400万円で、ほぼ似た状況にある。

 発熱患者も受け入れている救急病院の医師からは、「初期救急医療は休日診療所でもう少し担ってほしい」と、自治体の連携強化による休日診療所の機能充実や統合を求める声が上がる。しかし自治体側は「診察も薬もあくまで応急処置と考えている」「住民に近い市内にあるメリットもある」などとの意見があり、初期救急医療機関が担うべき中身について見解のずれがある。

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