湿疹やニキビ、ダニ増殖も 夏場のマスク 肌荒れに注意 宇都宮の皮膚科 院長に聞く


新型コロナウイルス感染防止対策で、今年の夏は手放せないマスク。夏場のマスク着用は肌が擦れたり、汗で蒸れたりと“マスク肌荒れ”が心配なところ。あい皮膚科クリニック(宇都宮市)の相原良子(あいはらよしこ)院長は「擦れで肌のバリアー機能が低下し、蒸れで雑菌が増えやすく、湿疹やニキビになりやすい。ダニが増殖しやすい環境になるため皮膚炎にもなりやすい。念入りにケアを」と呼び掛ける。相原院長によると、マスクと肌が密着した部分は擦れで皮膚表面の角質層が剥がれやすくなり、乾燥や刺激から皮膚を守るバリアー機能が低下する。角質層と皮膚の隙間から水分が蒸発して乾燥するだけでなく、汗やほこりなど外的刺激が入り込みやすくなる。その結果、鼻のワイヤ部分やゴムが当たる耳の裏などに湿疹ができやすくなるという。またターンオーバー(細胞の入れ替わり)が乱れて古い角質が毛穴をふさぐほか、蒸れで雑菌が増えやすくなるため、ニキビもできやすくなる。さらに「マスクの影響で今年、患者さんが異常に多くなっている」と相原院長が心配するのがニキビダニ皮膚炎。もともと皮膚にいるダニ(毛包虫)が増殖して炎症を起こし、赤い湿疹やむずむずとしたかゆみが出る。すでに患者は昨年の3倍で、普段は50~60代の女性に多いが、今年は10~20代の若い患者も多いのが特徴。「マスクによる蒸れで雑菌が繁殖しやすいのと、化粧がダニの餌になるため、今年は患者が増えたと見ている。暑さが厳しくなると、さらに患者数は増えると思う」。治療法は硫黄の塗り薬か抗生剤の服用。保険外で自費になるが、抗炎症作用などがある外用薬メトロニダゾールもよく効くという。ステロイドの塗り薬はダニの餌になり、悪化の原因になるため、肌が荒れたからといって自己判断でステロイドを使うのは禁物だ。女性はマスク着用時もメークをする人が多いが、予防法はあるのか。「紫外線はマスクも通すので日焼け止めはこまめに塗るのは必須。ファンデーションの代わりにクレンジング不要のフェイスパウダーを使うのがお勧め。そして、よく泡立てた洗顔料で優しく洗って」と呼び掛ける。スキンケアも重要で、洗顔は朝晩の1日2回行う。暑いからといって化粧水だけで済ませず、きちんと乳液も付ける。化粧水のみでは角質までしか水分が入らないという。ニキビが気になる人はノンコメドジェニックの化粧品を使おう。「スキンケアは毎日やることが大切。保湿は普段より念入りに」と話す。マスクを外して、肌を休めることも必要。不織布マスクよりも、コットンの布マスクの方が肌に優しいという。湿疹、ニキビ、ニキビダニ皮膚炎の見極めは一般の人には難しく、治療法も異なるため、肌荒れが気になる人は皮膚科を受診しよう。

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