最初の聞き取り、民間委託へ 保健所業務逼迫受け 奈良県方針


奈良県は18日の新型コロナウイルス対策本部会議で、感染が判明した人への保健所による健康状態の最初の聞き取り「ファーストタッチ」を民間委託する方針を決めた。感染者の急増で保健所業務が逼迫(ひっぱく)し、新たな感染者への対応が遅れるケースが増えているためだ。ファーストタッチの情報と医療機関が感染者の発生を届け出る「発生届」を基に、入院の必要があると判断した人には保健所が直ちに連絡を取るという。初動の迅速化で、感染者への対応を急ぐ。【久保聡】県内でも感染判明から数日間、保健所などと一度も連絡が取れないまま自宅待機を余儀なくされるケースが少なくない。感染者の急増で保健所の対応が追い付いていないためで、保健所は現在、発生届を基に、急を要する症状のある人や重症化リスクが高い人への対応を優先。一方で、他の感染者への接触が遅れがちとなっている。そこで県は、全ての感染判明者と速やかに連絡を取る体制を構築するため、ファーストタッチ業務を民間に委ねることにした。民間が発生届の情報を基に感染判明者に電話で連絡し、健康状態などを聞き取る。その際、体調などに変化があった場合、確実につながる相談窓口の連絡先も伝えるという。保健所はファーストタッチで得た情報と発生届を基に、すぐに連絡が必要な人と、そうでない人を区分。入院が必要と思われる人には連絡(二次接触)を取り、詳細な症状を聞き取った上で、入院や宿泊療養施設への入所につなげる。荒井正吾知事は、取材に「保健所業務の逼迫を解消し、とにかく早く感染者に最初の連絡を取る仕組みをつくりたい」と話した。また、県は対策本部会議で、専用病床の逼迫緩和のため、症状が安定し、自立した療養が可能と医師が判断した場合は、新型コロナ対応病院から「後方支援病院」(47病院)に積極的に転院させる方針を決めた。さらに、宿泊療養施設を利活用するため、療養施設で点滴の中和抗体薬を投与する体制を取ることも決めた。

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