アルツハイマー病の発症予測モデル iPS細胞とAIで開発 京大など


アルツハイマー病(AD)の発症予測モデルをiPS細胞(人工多能性幹細胞)と人工知能(AI)の技術を使って開発したと、京都大などのグループが発表した。遺伝子データからリスクを予測することで、早期の介入につなげられる可能性があるという。英科学誌ネイチャー・エイジングに18日掲載される。ADは2010年で世界に3千万人の患者がおり、発症には遺伝的な原因が大きいと考えられている。しかし、AD患者の9割を占める家族の病歴のない孤発性のタイプでは、遺伝的背景を探るのが難しかった。京大iPS細胞研究所の井上治久教授と近藤孝之講師らは、孤発性ADの患者102人から作ったiPS細胞を神経細胞に変化させた。その後、ADの原因とされる異常なタンパク質断片「アミロイドベータ(Aβ)」の量と各患者の遺伝子情報を分析したところ、Aβの量の増減に関わる8個の遺伝子が分かった。さらに、得られた遺伝子情報をAIで分析し、Aβの脳内沈着を予測するモデルもできたという。井上教授は「アルツハイマー病が発症する前に、遺伝子情報からリスクを予想できる技術につなげたい」と話している。

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