大型連休はStayCool 外出自粛で熱中症リスク増


各地で夏日が続く中、熱中症になる恐れが高まっているとして、救急救命医らが早めの冷房の使用などを呼びかけている。体が慣れていない時期に暑い日が続くと、疲労がたまって発症しやすい上に、今年は外出自粛が続いて体力が落ちている可能性もあり、リスクが高まっているという。2日も東京や大阪、福岡など広い地域で夏日が予想されており、注意が必要だ。大阪府堺市立総合医療センターで救命救急医として働き、熱中症対策アドバイザーの資格も持つ犬飼公一さん(33)によると、体が暑さに慣れていないこの時期は、夏ほどの暑さでなくても熱中症にかかることがある。例年、大型連休中に全国で300人以上が熱中症で救急搬送されているという。通常は、屋外での散歩や運動で徐々に暑さに慣れていくが、今年は新型コロナウイルスの感染拡大を受けて在宅生活を続けている人が多い。特に高齢者は運動不足で体力も落ち、熱中症にかかりやすくなっている可能性があるという。のどの渇きや温度の上昇に気がつきにくい高齢者は、特に室内で熱中症になることが多いとされ、外出しなくても十分な注意が必要だ。東京消防庁によると、2018年6~9月に熱中症で救急搬送された65歳以上の3711人のうち2196人(59%)が自宅などの「居住場所」で発症していた。乳幼児でもリスクはあり、0~5歳でも45%が居住場所での発症だった。熱中症を防ぐには▽暑いと感じる前から早めに冷房を使用する▽部屋の中でできる運動を続ける▽こまめな水分補給をする――といった対策が大切だ。犬飼さんが代表を務める、救急医らでつくる「熱中症予防啓発ネットワーク」は、ホームページ(https://www.hespen.org/)上で「#StayCoolキャンペーン」として予防を呼びかけている。「エアコンを1日14時間つけた場合の電気代 約360円」「熱中症で1泊入院した場合の治療代 約6万円」など具体的なコストも示し「エアコン代をケチらないことが、熱中症予防には重要」と強調している。医療機関が新型コロナウイルス感染症への対応に追われる中、熱中症の予防は医療機関の負担軽減にもつながるという。体調が急変して搬送された時点では、体温の高さが熱中症によるものなのか、ウイルスなどの感染症によるものなのか、わからないケースも多い。この場合、対応に当たる医療従事者は「いつもの3倍以上の時間をかけてマスクをし、防護服を着て受け入れの準備をしなければならない」という。犬飼さんの職場でも医療用のガウンが底をついたという。新型コロナの影響で医療現場が疲弊する現状を案じ、犬飼さんは「暑さに対する備えをし、早めに冷房をつけるだけでも、医療機関への負担軽減につながることを知ってほしい」と話す。(伊藤舞虹)

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