PM2.5上昇で心停止リスク増 川崎医科大が大規模調査 米医学誌に発表


大気中に舞う微小粒子状物質「PM2.5」の濃度が上がると、心停止のリスクが高まるとする結果を、川崎医科大(岡山県倉敷市)などの研究チームが17日付の米医学誌「JAMAネットワークオープン」に発表した。国内で心停止した約10万人を対象にした疫学調査。チームによると、PM2.5と心停止の関係について、これほど大規模の疫学調査は世界で例がないという。PM2.5は、工場や車の排ガスなどから発生する直径2.5マイクロメートル(マイクロは100万分の1)以下の微小粒子。非常に細かく、吸うと肺にまで達するため、呼吸器や循環器の疾患につながる可能性が懸念されている。国の環境基準では、大気1立方メートル当たり1年平均で15マイクログラム、1日平均で35マイクログラム以下と定められているが、地域や時期によっては基準より高い濃度のPM2.5が観測されている。チームは総務省消防庁が集計しているデータの中から、2011~16年に心臓の不調が直接の原因で心停止した約10万3000人(平均年齢75歳)を対象に調べた。病院での死亡や交通事故による心停止は含まれていない。各都道府県の地点で測定しているPM2.5の濃度と対応させて関連性を分析すると、PM2.5の濃度が1立方メートル当たり10マイクログラム上昇すると心停止の発生が1・6%増えていた。特に75歳以上は2%、男性は2・1%増えていた。研究を主導した小島淳・川崎医大教授(循環器内科学)は「PM2.5が心臓に悪影響を与えるのは間違いない。排ガスの規制など、大気汚染に対する意識を変えていかなければならない」と指摘している。【柳楽未来】

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