がん5年生存率64.1% 前回より2ポイント改善 早期発見で向上


厚生労働省の研究班は15日、全国22府県で2009~11年にがんと診断された人の5年後の生存率が64・1%だったと発表した。前回(06~08年)の調査より2ポイント改善した。検診受診や診断の進歩で早期にがんが見つかることが生存率の向上に結びついていると考えられる。集計に協力した道府県のうち、ほぼ全数の患者情報を集めている大阪、愛知、広島など22府県約59万2000人分のデータを分析した。昨年12月と今年3月に公表された5年生存率は、がん診療連携拠点病院を中心に集計したもので、今回はこうした病院以外のデータも含まれており、実態により近い数字とされる。5年生存率は、男性が62・0%(前回59・1%)、女性が66・9%(同66・0%)。国内で患者数の多いがんでは、前立腺が99・1%で最も高かった。次いで、乳房92・3%▽大腸71・4%▽胃66・6%▽肺34・9%――で、いずれも前回より改善した。臓器内にとどまった早期がんの場合は92・4%。一方、隣の臓器に広がるなどすると58・1%、他の臓器などに遠隔転移すると15・7%で、がんの進行とともに低くなった。高齢になるほど低くなり、15~44歳(82・4%)と75~99歳(53・9%)とでは28・5ポイントも開きがあった。ただ、胃や大腸、肝・肝内胆管では15~64歳と65~74歳とで大きな差はみられず、乳房と前立腺では全ての年齢層で差がみられなかった。班長の松田智大・国立がん研究センター全国がん登録室長は「早期発見のためにがん検診を受診し、診断されたら最良の治療である標準治療を受けてほしい」と話している。詳細はウェブサイト(https://ganjoho.jp/reg_stat/statistics/brochure/monitoring.html)で確認できる。【御園生枝里】

関連記事

ページ上部へ戻る