〈独自〉軽症者施設で血中酸素濃度測定を促進 重症化の兆し把握へ


政府は、新型コロナウイルス感染症の軽症者や無症状患者が療養する専用施設で、重症化の兆しを早期に発見するため血中酸素飽和濃度を測る「パルスオキシメーター」を活用する方針を固めた。患者が重症化する前に医療機関に搬送することで、救命率の向上を図りたい考えだ。複数の関係者が8日、明らかにした。パルスオキシメーターは、検知器を指先や耳たぶなどにつけ、酸素が血中に溶け込んでいる濃度を皮膚の上から測る装置。公明党が政府に積極的な活用を求めていた。新型コロナウイルスは症状が比較的軽度でも、急速に重症化するケースがある。その際、血中酸素飽和濃度の低下が専門家から指摘されている。軽症者や無症状患者の血中酸素飽和濃度を継続して測ることで、重症化の予兆を把握する効果が期待できる。感染拡大で病床数が逼迫(ひっぱく)する東京都などでは、軽症者や無症状患者が滞在する専用施設としてホテルなどの借り上げを進めている。患者は一定期間施設に滞在し、PCR検査を通じて陰性と認められれば退所する。ただ、一定の割合で重症化する患者も想定されることから、専用施設にパルスオキシメーターを備えつけ、血中酸素飽和濃度を把握する。重症化の兆しがあれば速やかに医療機関に搬送する方針だ。公明党の山口那津男代表は6日の党会合で「医療現場から要望が強いのは、重症に至りそうな人をできるだけ早く医療機関に送ることだ」と指摘。パルスオキシメーターを紹介した上で「ぜひホテルなどに用意し、重症化に至る前に医療機関に搬送できる態勢を整えてほしい」と政府に求めた。医師免許を持つ同党の秋野公造参院議員はパルスオキシメーターについて「10秒程度で簡便に血中酸素飽和濃度を測定できる。普及が進めば手遅れにならず、患者の命を救うことにつながる」と期待感を示した。

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