不急の手術延期を提言 「医療従事者の安全最優先」 医学系10団体


新型コロナウイルスの感染拡大を受け、日本外科学会など医学系10団体は、感染した人や感染を疑われる人に手術する場合、致命的な病気でなければ延期するよう促す提言をまとめた。「医療を継続的に提供するためには、医療従事者を感染から守ることが最優先だ」と訴えている。提言したのは、日本外科学会や日本消化器外科学会、日本心臓血管外科学会など。緊急度に応じて手術の優先順位を決める「トリアージ」の目安として、①致命的ではない疾患や、緊急ではない手術②致命的ではないが、潜在的に生命を脅かすか重症化する危険性がある疾患③数日から数カ月以内に手術をしないと致命的となり得る疾患――の3段階を示した。具体例として、①は白内障手術や大腸の内視鏡検査などを挙げ、「延期すべきだ」と提示。②は悪性度の低いがんの手術や、膝を人工関節に置き換えるような緊急性の低い整形外科手術などを示し「可能であれば延期すべきだ」とした。③は、ほとんどのがん手術や臓器移植手術、心臓手術などで、「十分な感染予防策をとり慎重に実施すべきだ」としている。新型コロナの感染経路は主にせきやくしゃみなどの飛沫(ひまつ)感染と、汚染された手で目や口を触る接触感染だが、医療行為で発生し空気中を漂う細かい粒子状の「エアロゾル」による感染も指摘されている。提言では、消化器内視鏡や電気メスの使用、気管切開などでエアロゾルが発生し「感染のリスクが高まる」とした。【小川祐希】

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