高血圧と肥満、寿命を縮める大きな要因 遺伝情報使い特定 阪大などのチーム


高血圧と肥満が、寿命を縮める大きな要因になっていることを、世界中の70万人分のゲノム(遺伝)情報を使った新たな手法を用いて特定することに成功したと、大阪大などの研究チームが23日発表した。日本人では、高血圧による影響が最も大きかった。研究チームは「各個人の健康リスクを予測できるようになれば、予防医療に貢献できる」としている。これまでの研究では、肥満などと寿命の因果関係を調べるのは困難だった。例えば「痩せている人は短命」との傾向があったとしても、痩せていたから短命だったのか、病気になって痩せて短命になったのか、特定できなかった。研究チームは日本と英国、フィンランドのバイオバンク(研究目的で検体を蓄積する施設)が集めた計約70万人分のゲノム情報と、体重や血液検査の結果などを解析。各個人が生まれながらに持っている肥満や高血圧、高コレステロールなど33項目のリスクを算出し、寿命との関連を調べた。その結果、日本人では高血圧が寿命を縮める最大の要因で、糖尿病や脳梗塞(こうそく)などを合併すると影響が増大していた。肥満は、欧州人の方がより影響が大きかった。高コレステロールや高身長、血小板の少なさなども寿命を縮める要因と判明した。チームの岡田随象(ゆきのり)・阪大教授(遺伝統計学)は「今回の項目以外も調べて、投薬などで改善できるリスクをより多く見つけ、早めに対処すれば、寿命の短縮を防げる可能性がある」と指摘した。成果は米科学誌ネイチャー・メディスンに掲載された。【渡辺諒】

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