病院医師の7割、新型コロナの防護具不足 デロイト調査


デロイトトーマツグループが実施した医療機関に関する調査によると、病院の医師の約7割が新型コロナウイルスの対策で必要となるフェースシールドなどの個人用防護具が不足していると回答した。オンライン診療や医療の業務効率化のためのデジタル化の施策を求める声も相次いだ。感染第2波の懸念が広がる中、医療現場の体制見直しが急務になっている。調査は6月8~22日にインターネットで実施した。病院・診療所の医師と患者の双方を対象にそれぞれ調査した。有効回答数は医師229人、患者5000人だった。医療物資の過不足の状況について病院の医師に聞いたところ、フェースシールドやガウンなどの個人用防護具に関しては66%、マスクは61%、消毒液は52%がそれぞれ「不足している」と回答した。医療を支える仕組みや機能に関しては、医師の52%が医療関係者の業務を効率化するためのデジタルコンテンツなどが不足しているとした。医療のデジタル化に期待することについて病院と診療所の医師に聞いたところ「患者の過去の受診歴や検査データなどの閲覧」が最大となり、94%を占めた。次いで「患者の過去の薬歴の閲覧」(86%)、「コンピューター断層撮影装置(CT)や磁気共鳴画像装置(MRI)などの画像診断支援」(79%)、「オンライン診療」(78%)と続いた。一方、患者を対象とした新型コロナの影響に関する調査では、医療機関への通院について「なるべく通院を控えたい」と答えた人は48%に達した。「変わらない」は51%だった。定期的な通院患者のうち、23%は実際に通院頻度が減ったと答えた。頻度の内訳でみると、最も強く影響を受けているのは「週に1回以上」の患者で43%が頻度が減った。頻度が減った患者に受診を控える主な理由を複数回答で聞いたところ、最も多かったのは「外出自粛や院内感染の恐れ」(69%)だった。次いで「持病薬にストックがある」(23%)、「体調に大きな支障がない」(19%)、「電話による再診などが受けられる」(10%)と続いた。政府は新型コロナの感染拡大を受け、電話やオンラインによる遠隔診療を全面的に解禁した。オンライン診療について知っている人の割合(認知率)は44%に達したものの、利用率は2%にとどまった。電話再診の認知率は35%で、利用率は5%だった。

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