信州大病院(長野県松本市)を受診していた妊娠中の女性(当時39)が2015年に肺血栓塞栓症で死亡したのは病院が適切な治療を受けさせなかったためとして、千葉県内に住む遺族らが信州大に約7700万円の損害賠償を求めた訴訟の判決で、千葉地裁は29日までに、大学に約4757万円の支払いを命じた。内田博久裁判長は判決理由で、医師は死亡する5日前の診察で肺血栓塞栓症を疑っていたと指摘。その上で「検査をするか循環器内科などに検査や治療を委ねるなどの措置を怠った」と判断した。死因については別の病気も否定できないとしたが、検査をしていれば治療により死亡は回避できたと認定した。判決によると、女性は15年4月12日から呼吸困難を訴え、16日に病院を受診。医師は検査結果から原因が断定できず、耳鼻科受診を勧めた。女性は同21日に自宅で倒れ、死亡した。大学側は「受診時に肺血栓塞栓症は発症していなかった」などと主張していた。病院は「判決文を確認できていないのでコメントできない」としている。〔共同〕