元看護助手、再審無罪へ 滋賀の患者死亡で31日判決


滋賀県東近江市の湖東記念病院で2003年、男性患者(当時72)の人工呼吸器を外し殺害したとして、殺人罪で懲役12年が確定、服役した元看護助手、西山美香さん(40)の再審公判で大津地裁は31日、判決を言い渡す。検察側は「被告が有罪との新たな立証はせず、裁判所に適切な判断を求める」として求刑を見送っており、西山さんの無罪は確実とみられる。地裁が患者の死因や西山さんの供述の信用性をどう判断し、捜査の問題点にどこまで踏み込むかが焦点となる。西山さんは04年、県警の聴取に「呼吸器のチューブを外して患者を殺害した」と自白し逮捕、起訴された。05年の大津地裁判決は自白調書の信用性や任意性を認め、死因を「酸素供給が途絶したことによる心停止」と認定して懲役12年を言い渡し、その後最高裁で確定した。だが17年の大阪高裁の再審開始決定は、弁護側が新証拠として提出した医師の鑑定書などを基に、死因は「致死性の不整脈」による自然死の可能性があると判断。自白についても「取り調べを担当した刑事に好意を抱き、迎合して虚偽の自白をした可能性がある」とし、信用性を否定した。再審公判は今年2月から始まった。弁護側は患者の死因について、医師の新たな鑑定を基に(1)不整脈(2)気道へのたんの詰まり(3)人工呼吸器の空気漏れ――などによる自然死の可能性があると主張。「人工呼吸器のチューブを外した事実はない」と強調した。自白についても「重要な点が変遷し、うそであることは明白だ。取り調べ担当の刑事に対する西山さんの恋愛感情を利用し、状況証拠に整合するよう誘導した」と捜査を批判し、信用性も任意性もないとしている。西山さんは再審公判の最終意見陳述で「世の中には冤罪(えんざい)で泣いている方がたくさんいる。私たちがどんな思いで過ごしてきたか分かってほしい」と訴えた。〔共同〕

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