滋賀県草津市の淡海医療センターは今月から、県内初となる心臓病専用救急車「モービルCCU」の運行を始めた。循環器内科の専門医らが乗り込み、患者を搬送中に車内で初期診断や治療を行う。同市を含む湖南医療圏は人口増や高齢化で心疾患も増加しており、一刻を争う心臓病治療に適切に対応するため導入を決めた。モービルCCUは心電図などの医療機器や強心剤といった薬剤などを搭載。当番医制で平日午前8時半~午後5時に消防署の要請に応じて出動し、専門医ら2人と救急救命を担う看護師1人が同乗する。同病院によると、専門医が的確な措置を取れることから人工心肺を装着した患者の病院間搬送も可能で、急性心筋梗塞や大動脈解離といった重篤な心疾患にも迅速に対応できるという。同病院は運用開始に合わせ、救急医療センターの運営体制を強化した。循環器内科統括部長からセンター長に就任した藤井応理医師は「現場での5分の診断遅れが1、2時間の治療の遅れにつながる。患者への適切な対応や安心感を与えたい」と話した。