新システム、懸念払拭に躍起=旗振り役の河野・平井氏―ワクチン情報を一元管理


政府は新型コロナウイルスのワクチン接種をめぐり、個人情報を一元管理する新システムの導入を急いでいる。旗振り役の河野太郎規制改革担当相と平井卓也デジタル改革担当相は、混乱などの懸念払拭(ふっしょく)に努めるが、詳細な制度設計はこれからだ。厳格な情報管理の在り方も課題となる。
 新システムは、国が住民基本台帳を基に構築するデータベースに、市町村が今後郵送する接種券(クーポン券)番号と、全国民に割り当てられているマイナンバーをあらかじめ登録。接種会場では、医療機関がクーポン券に印刷されたQRコードを読み取り、接種の日時や場所、ワクチンの種類などの個人情報をリアルタイムで収集する。
 政府は当初、市町村が管理する「予防接種台帳」で情報を記録する予定だった。しかし、台帳管理のシステムは自治体ごとに異なり、紙の利用も残っているという。
 このため、河野氏らは集計に手間と時間がかかるとして問題視。個人単位の接種状況を即時に把握できれば「自治体にとってメリットになる」と訴えている。
 ワクチンは一定間隔で2回接種する必要がある。新システムで、1回目の接種後に転居した人や、2回目の接種に現れなかった人に、注意喚起も可能になるとしている。
 政府は、4月にも始まる高齢者への接種に合わせ、新システムの稼働を目指す。費用は全て国が負担する方針だが、河野氏は29日の記者会見で、必要な財源規模について「まだ決まっていない」と述べるにとどめた。
 ワクチン接種をめぐっては、厚生労働省も「ワクチン接種円滑化システム」(V―SYS)を準備中。ワクチンの流通状況などの管理に活用する予定だ。個人単位の接種状況を把握する新システムと連携することで、政府は感染阻止の「切り札」と位置付けるワクチン接種が、遅滞なく進むことを期待している。
 ただ、自治体側には、ただでさえ煩雑な接種業務への唐突な新システムの導入に、困惑が広がる。全国市長会は27日、政府側に「事務が増えることは非常に困る」と懸念を伝えた。
 これに対し、河野氏は「(自治体側のデータを)USBなどに落として(新システムに)アップすればいい。むちゃくちゃ手間になることはない」と説明。平井氏も「既に住民基本台帳とマイナンバーはひも付けられている」と理解を求めた。
 国による個人情報の一元管理に対しては、プライバシーの観点から抵抗感も根強い。情報の流出や目的外利用を防ぐ対策が重要となるため、政府は今後、管理・監督体制を早急に詰める方針。河野氏は「自治体とよく協議したい」と話している。 (C)時事通信社

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