厚生労働省は28日、新型コロナウイルス感染症患者の入院をまとめて受け入れる「重点医療機関」に全国899病院、2万1405床が指定されたと発表した。現在確保している全国の新型コロナ用病床の80%に上るが、指定の進み具合には地域差も出ている。重点医療機関は病院や病棟単位で新型コロナ専用の病床を設ける医療機関だ。流行が始まった当初は多くの医療機関に患者が分散して入院していたが、厚労省は医療資源を効率的に運用するため重点医療機関への集約を促してきた。今月21日時点で、重点医療機関の病床数の最多は東京都3129床、最少は岡山県の75床だった。都道府県別に確保病床に占める重点医療機関の割合は、山形、神奈川、福井、山梨、京都、奈良の6府県が100%だった。最も低い岡山県(29%)を含む5県が5割を切った。京都府によると、少ない新型コロナ患者でも、スタッフが防護服を着たり、トイレや動線を他の患者と分けたりするなどの対策が必要なため、病棟単位で集約した方が効率的という。重点医療機関に支払われる空床確保料が増額され、「だいぶ経営が助かっているという声を聞いている」と話す。また、岡山県は重点医療機関の割合が低く、多数の医療機関に分散して病床を確保しているため「患者が病院にアクセスしやすいメリットがある」とする。一方、「重点医療機関が多い方が入院先の調整をしやすい。ただ、病院が新型コロナ患者を多く受け入れると他の業務を圧迫するので、県の思惑だけでは指定できない」と話す。【原田啓之】◇各都道府県の重点医療機関の病床数と確保病床数に占める割合(21日現在)病床数 重点医療機関の占める割合(%)北海道 1507 83青森県 96 51岩手県 139 37宮城県 251 73秋田県 99 45山形県 216 100福島県 323 69茨城県 478 88栃木県 172 55群馬県 266 87埼玉県 1085 90千葉県 1022 89東京都 3129 78神奈川県 1939 100新潟県 384 84富山県 405 81石川県 211 82福井県 215 100山梨県 285 100長野県 330 94岐阜県 474 76静岡県 254 66愛知県 574 67三重県 285 79滋賀県 371 86京都府 530 100大阪府 1163 85兵庫県 522 79奈良県 467 100和歌山県 300 75鳥取県 261 83島根県 216 85岡山県 75 29広島県 434 78山口県 148 35徳島県 179 90香川県 180 97愛媛県 213 93高知県 134 67福岡県 306 56佐賀県 220 80長崎県 129 33熊本県 384 96大分県 258 78宮崎県 200 81鹿児島県 145 57沖縄県 431 98全国 21405 80