肺の生活習慣病、血液1滴で診断 阪大


大阪大学の木庭太郎医員と武田吉人准教授は、息切れやせきがひどくて生活に支障を来す慢性閉塞性肺疾患(COPD)を血液1滴で診断する手法を開発した。血液中のたんぱく質を測る。COPDは「肺の生活習慣病」とされ、症状の進行に気づきにくかった。COPDは新型コロナウイルスや肺炎球菌などによる肺炎が重症になるリスクが高い。定期健診の血液検査で予兆がわかれば、早めに対策を打てる。COPDは長年の喫煙や大気汚染などが原因で発症する。日本には推定500万人以上の患者がいるが、治療を受けているのは5%程度という。息切れやせきなどの症状から徐々に進行し、症状が重くなると呼吸不全になる。研究グループは血液中にある微粒子「エクソソーム」に着目した。直径100㌨(ナノは10億分の1)㍍前後で、ある種のたんぱく質や「マイクロRNA(リボ核酸)」と呼ぶ物質を含む。COPDの人の血液からエクソソームを取りだして調べたところ、「ファイブリン―3」というたんぱく質の量が健康な人に比べて約1・5倍もあった。このたんぱく質は体の組織に弾力をもたらす線維をつくる。COPDになった肺は伸びきったゴム風船のような状態になっている。線維が壊れるなどして、このたんぱく質が血液中に漏れ出たとみている。COPDの診断では肺活量を検査するが、息切れなどの初期症状だけで検査をする病院は少なく、見落としのリスクがあるという。

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