高齢化地域、オンラインに活路 春野で移動診療実験


広大な中山間地域を移動診療車が走ってオンライン診療をする浜松市の実証実験が今月、始まった天竜区春野町。市によると、患者に薬の配送まで行う実験は国内で初めて。患者だけでなく、医療従事者の高齢化も進んでいることが、その背景にある。 (南拡大朗)春野町の面積二百五十二平方キロは市全体の約六分の一に相当し、点在する集落に四千九十人(四月一日現在)が住む。高齢化率は52・3%と高い。地域には医師の高齢化、後継者不足の問題もある。春野町に常駐する最も若い医師は七十代。町に五カ所ある診療所の一つ小沢医院の小沢靖院長(80)は自らハンドルを握り週八〜十件の訪問診療を行う。半日かけて六十キロ走行し、診察できるのは五人ほどだという。浜松市の実験では、患者が自宅まで来る診療車に乗り込み、タブレット端末越しに医師の診察を受ける。服薬は、ドラッグストアチェーンの薬剤師が端末を介して指導。山あいの患者の家まで、最大で約八・五キロの距離を自動航行のドローンを飛ばして薬を届けることも試みる。実験には小沢医院が参加し、日ごろ訪問診療を受けている患者ら十人程度が今年末まで一部でオンラインを試す。小沢院長は「これをきっかけに若い医師が来てくれれば」と期待している。関連キーワード

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