市川市、独自の保健所設置へ コロナ対策「市に不可欠」


千葉県市川市の村越祐民市長は9月市議会で「効率的な新型コロナ対策には、保健所を自前で持っていることが必要不可欠」と述べ、市独自の保健所設置を目指すと表明した。現在の市川健康福祉センター(市川保健所)は県の設置で、コロナ陽性者数や重症度などを市がすぐに把握できない課題があったという。荒木詩郎市議(緑風会第一)の代表質問に答えた。県内の市町村で現在、自前の保健所を持っているのは千葉、船橋、柏3市だけ。県管轄の現・市川保健所は市川、浦安両市を担当しているが、市川市が軽症者用ホテルを独自に確保しようとしたり、市独自のPCR検査を始めようとしたりした時に県との調整に時間がかかった。こうした経緯から、村越市長は「保健所の機能と人材が市に不可欠と痛感した」と話す。自前の保健所を持つには、総務省から「中核市」や「政令指定都市」の指定を受ける必要がある。中核市の条件は「人口20万人以上」で、人口49万人の市川市はすでに満たしている。総務省によると、4月現在、中核市は全国に60。中核市になると、「保健所業務」「産業廃棄物処理業者への対応」「養護老人ホームの設置認可」などの事務が県から移管され、市川市の試算では、保健所業務だけで職員が約50人増となり、年約4億3600万円の負担増という。こうした費用増を避けるためなどから、人口20万人以上で中核市になっていない市も市川含め全国に31あるという。「今回のコロナ対策が大きな転機になった」(村越市長)として、市は早ければ2023年4月にも中核市に移行し、保健所を持ちたい考え。30日に、議会側に今後の行程を説明する。市川市が独自の保健所を持った場合、現・市川保健所が管轄する浦安市にも影響が出る。市川市は浦安市と県には連絡済みで、浦安市の内田悦嗣市長は「市川市の中核市移行に備えて影響調査を始めた」と市議会で市議の質問に答えた。(三嶋伸一)

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