神戸の医療機関に「遠隔ICUシステム」提供 医療ITベンチャーが市と連携


医療ITベンチャーのT-ICU(兵庫県芦屋市)は11日、神戸市と連携して、新型コロナウイルス感染症患者が入院している市内の民間医療機関に、「遠隔ICU(集中治療支援)システム」の導入を支援すると発表した。同社の集中医療専門医が遠隔で患者への治療方針について市内の医療機関に助言する。自治体が民間の医療機関に対して遠隔ICUの導入を支援するのは初めて。今年4月から、神戸市立医療センター中央市民病院、同西市民病院、市立西神戸医療センターで試験的に導入。心拍数や呼吸数などの生体データを共有。医師の負担軽減につながるなどの一定の成果が得られたことから市は今月、順次市内20カ所の民間医療機関に導入を呼びかけている。導入にあたっての費用は市が負担する。システムの運用は9月から来年3月末までの期間限定だが、感染症の流行状況によっては期間の延長も検討する。神戸市では重症化患者を中央市民病院で受け入れているが、一部で重症化を恐れた軽症もしくは中等症患者が市内の医療機関から転院を希望するケースがあるという。一方、新型コロナウイルス感染症は短時間で重症化する症例もあり、市は医療崩壊を防ぐ観点から、「患者の重症化をいち早く察知し、中央市民病院に迅速に搬送する体制を整える」(久元喜造市長)ことにした。T-ICUは平成28年、現役の集中医療専門医である中西智之氏が立ち上げたベンチャー企業。現在、全国21カ所の医療機関に遠隔ICUシステムを納入している。

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