熊本県和水町の歯科医院「歯科処 神崎」が、発熱などの症状がなく、公的機関の新型コロナウイルス感染症の検査対象とならない人向けに、全額自己負担で唾液を使ったPCR検査を始めた。感染症の診断ではなく、口腔[こうくう]内の新型コロナウイルス有無の判定のみとなる。歯科医師で同医院の神崎昌二院長(49)は口腔内の細菌やウイルスについて研究しており、一度に46検体が検査できるPCR検査機を以前から保有。新型コロナ感染を心配する患者や地域住民の声を聞き、不安払拭[ふっしょく]と感染拡大防止のために検査体制を整えた。試薬を調合する安全キャビネットや検体を保管する冷凍庫などを新たに購入し、駐車場に検査用の建物も新設した。整備に総額約1千万円を費やした。検査費用は1万9800円(税別)。検査結果は、当日か遅くとも翌日までに電話やメールで連絡する。8日から、受け付けを開始した。企業や個人事業主限定で、検査キットの送付も行っている。厚生労働省結核感染症課によると、「唾液による新型コロナウイルスのPCR検査は歯科医師にも可能だが、感染しているかの診断は医師しかできない」。神崎院長は「あくまで、唾液中のウイルスの有無を確認するための検査。陽性の場合は、すぐに保健所と患者に連絡する。陰性であっても、その後に感染する可能性もあり、継続的な検査を勧めたい」と話している。同医院TEL0968(34)6608。(長濱星悟)