産科少ない北部に助産院 300人の助産師育てた専門家、要望受け開設 妊娠から産後までケア


【今帰仁】やんばる地域で出産後の母親と赤ちゃんの健やかな成長をサポートしようと、このほど村兼次の高台に「やんばる希望ヶ丘助産院」がオープンした。正常な経過をたどる妊娠・出産・産後のケアを主体的に行う「アドバンス助産師」の認証を得ている小柳弘恵さんは「北部地域は産科が三つのみで助産師の数も少ない。産後のママだけでなく、思春期・妊娠前・妊娠中の方々への支援も行いたい」と意気込んでいる。「ぜひ、やんばる地域に助産院を開設してほしい」との要望を受けて2月にオープン。サービス内容は宿泊型、通所型、訪問型がある。現在、お産は他の施設で行ってもらい、妊娠中と産後のケアを行っているという。小柳さんは、看護師・助産師として東京都内で長年勤務後、恩師の勧めで教育の世界へ進んだ。日本赤十字社助産師学校教員、名桜大学助産学専攻科教員として、10年間に約300人の助産師を育てた。同大着任後は助産師を育てる傍ら、育児や母乳に関する相談を受け、北部の出産事情や助産師不足の現状に直面。また、地元の教え子らが卒業後、本土や他地域へ就職するなど、やんばるに根付かないのも悩みだった。「どうすればママや赤ちゃんが身近で出産前後のケアが受けられるのか」と思っていた。2019年度からは本部町が、退院直後の母子に心身のケアや育児のサポートなどきめ細かい支援をする国の「産後ケア事業」を実施。同事業は新しい制度で認知度が低いため、本年度から同院が今帰仁村、伊平屋村、伊是名村、伊江村と提携し事業を担っている。同院に宿泊していた伊平屋村からの出産を控えた妊婦は「船の関係で、早めに島外へ出て出産に備えている。居心地よく、楽しく過ごしている」と笑顔で話した。沖縄が好きで、度々旅行に訪れていたという小柳さん。「教え子たちが助産師として力をつけて、やんばる地域に戻り、活躍する日を楽しみに頑張る」と抱負を語った。問い合わせは同助産院、電話0980(56)5549。(赤嶺幸代通信員)

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