禁煙治療アプリの効果実証 慶応大、長期の継続確認


慶応大医学部呼吸器内科の福永興壱教授らは、禁煙治療用のスマートフォン向けアプリの大規模臨床試験(治験)で、1年にわたる禁煙継続効果を確認したと発表した。禁煙治療用アプリの長期的効果を実証した臨床試験は世界初という。アプリは、禁煙外来治療の指針である「標準手順書」に基づき、株式会社CureApp(東京)と共同開発した。アプリを使うと、患者はたばこの依存性や治療薬などについて解説した動画の配信を受けられたり、自動応答でアドバイスをもらったりできる。禁煙日記や自宅で測定した呼気中の一酸化炭素(CO)濃度を送信し、主治医と治療の進捗状況を共有できる。臨床試験は全国31カ所の禁煙外来を受診した喫煙者584人を対象に実施。外来の標準的治療を行ったグループと、これに加えて治療用アプリも併用したグループに分けて効果を比較した。最初の受診後9週目から24週目まで禁煙を継続している患者の割合は、外来受診だけのグループが50.5%だったのに対し、アプリ併用グループは63.9%と高かった。さらに52週目までの継続率も、外来受診のみの41.5%に対し併用は52.3%で、アプリが1年後まで継続率を高めることが分かった。日本では2006年から禁煙外来が保険適用となったが、従来の禁煙補助薬処方やカウンセリングだけで1年後も禁煙を続けている患者は3割程度で、長期的効果のある方法が求められている。呼吸器内科の正木克宜助教は「患者さんの背景はさまざまで、個々の日常生活に寄り添った提案や支援が必要。アプリが効果的、効率的な禁煙支援につながることを期待する」と話している。〔共同〕

関連記事

ページ上部へ戻る