指先の汗から健康チェック 山形大が小型センサー開発へ


指先の微量の汗から健康状態を簡単に把握――。そんなセンサーの開発に、山形大学が乗り出した。コロナ禍で、病院での対面での診察や健診といった従来型の医療を見直さざるを得ない中、人々が自分で健康状態を把握し、高血圧など病気の予防に役立てる「未来の医療」を目指すという。取り組むのは、山大の工学部と医学部の研究者を中心とした連携チーム。大学院有機材料システム研究科の長峯邦明准教授がリーダーを務める。3年間をめどに開発を進め、県内での実証実験も実施するという。長峯准教授によると、目に見えないほどの微量の汗や唾液(だえき)から健康状態を把握できる小型の「化学センサー」を開発する。電極が埋め込まれたゼリー状の物質に指先が触れると汗を採取。汗の中の乳酸や糖などの成分を計測する仕組みだ。採血で得られる検査データを測れるようにするのが目標だという。並行して開発する「物理センサー」はごく薄いシート型を想定。ベッドのマットの下に敷くことで、睡眠中の体の微振動から心拍や呼吸の計測を目指す。二つのセンサーで測ったデータは近距離無線通信で送り、自身のスマホなどで数値を把握できるほか、医療機関にも送付して医師が確認できる仕組みにしていくという。将来的には県内でも課題の高血圧や心疾患などのリスクを簡単に把握できることを目指し、予防や重症化の防止につながることが期待できるという。14日の定例工学部長会見で研究内容を発表した長峯准教授は「血液検査のような体への負担が大きい行為をしなくても自分の健康状態を簡単に調べられる。予防医療への意識(の向上)も進められるのではないか」と話した。(石井力)

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