岡山大(岡山市)と両備システムズ(同)は24日、人工知能(AI)を活用して早期胃がんの深達度(深さ)を診断する共同開発のシステムが医療機器として承認されたと発表した。深達度を見極めて内視鏡治療か外科手術かを決定するのは専門医でも難しく、システムの導入でより正確な判断につながるという。岡山大病院(同)などで試行し、年内の販売開始を目指す。 システムは、内視鏡で撮影した病変部の画像6枚程度を読み込ませると1分弱で胃壁のどの部分までがんが浸潤しているかを判定する。岡山大病院を受診した早期胃がんの患者約500人の病変部の画像約5千枚をAIに学習させており、82%の精度で正確な深達度を診断できるという。 早期胃がんの治療法は、胃壁の粘膜層など浅い部分に腫瘍がとどまっている場合は内視鏡治療、それよりも深い場合は外科手術で切除するのが一般的。ただ医師が画像を見ながら経験や直感を頼りに深達度を判断して治療方針を決めているのが現状で、内視鏡治療後に手術が必要になったり、不必要な手術を行ったりするケースが少なくないという。 同大などによると、専門医の診断精度は72%とされる。開発に携わった河原祥朗教授(消化器内視鏡学)は「医師の診断を手助けしてくれるシステム。80%を超える精度は画期的で意義は大きい。実用化により患者のQOL(生活の質)を損なうような治療が減らせると思っている」と期待。「将来的には学習させる症例を増やし、90%の精度を目標にバージョンアップしたい」と話している。