「一律の面会禁止やめて」認知症の人と家族の会が要望


新型コロナウイルスの感染拡大防止のために病院での家族の面会が禁止され、認知症の入院患者が危篤に陥る事例が発生したことが17日、公益社団法人「認知症の人と家族の会」への取材で判明した。同会は「家族でなければ気づけない変化が見落とされる」として、個別事情への配慮を求めている。同会富山県支部によると、2月に認知症の女性(70)が転倒し、大腿骨(だいたいこつ)骨折で入院。その後、病院で面会が禁じられ、夫(78)も近くで世話をすることができなくなった。3月になって突然病院から、女性が危篤との連絡があり、夫ら家族が駆けつけると女性は手足を拘束され、新型コロナウイルスではない別の感染症で命の危機に陥っていたという。同支部の勝田登志子事務局長は「彼女は自分で不調を訴えることができない。普段接している家族なら話せなくても変化に気づくが、おとなしい人だから見過ごされた」と訴える。女性は一命をとりとめ、現在、夫の面会は特例として許可されているという。同会は16日、厚生労働相に対し、認知症の入院患者への面会が画一的に禁止されないよう医療機関に要請することや、介護者が感染しても、認知症の人が安全な環境下で介護を受けられる態勢を整備することなどを要望。今後、各支部を通じ、認知症の介護現場の状況を調査するとしている。

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