国立がん研究センターは27日、2008年にがんと診断された患者約23万8000人の10年後の生存率が59.4%だったと発表した。10年生存率では初の大規模調査で、同センターは「国内の全体像を網羅できた。5年経過後に生存率が低下したがんもあり、長期的な経過観察の必要性が示された」としている。
全国240施設の患者計23万7892人について、がん以外の死因の影響を除いて生存率を算出した。部位別では、前立腺がんが最も高い98.7%。他は乳がん87.5%、大腸がん67.2%、胃がん66.0%、肺がん34.5%、肝臓がん21.8%などで、早期発見が難しい膵臓(すいぞう)がんが最も低い6.5%だった。
がんは診断からの5年が治癒したかどうかの目安にされることが多いが、肝臓がんでは、5年が経過しても生存率が低下していた。進行した乳がんでも、生存率がやや下がる傾向が出た。
同センターなどは昨年、04~07年にがんと診断された患者の10年生存率を58.3%と公表したが、調査対象は専門医療機関21施設の約9万4000人だった。今回と比べ小規模なため、生存率が改善したか単純な比較はできないという。 (C)時事通信社