大学のPCR検査能力、文科省が調査 山中教授も提言


新型コロナウイルスのPCR検査を実施する能力が全国の大学にどれくらいあるかについて、文部科学省が調査を始めたことがわかった。PCRの検査機器は大学の研究室に相当数あり、研究者から「活用すれば国内のPCRの検査能力は大幅に上がる」という指摘が出ていた。PCR検査は、植物や微生物などの研究では一般的に使われている。ただ、診療を目的とした検査をするには都道府県などに登録申請した上で、病原体を取り扱える特別な施設で実施する必要がある。文科省は11日付で約1千の国公私立大学や研究施設などに事務連絡を出し、機器の台数や、1日当たりの最大検査可能数、病原体を取り扱える施設数などを14日までに回答するよう求めている。集計結果を厚生労働省に伝え、検査の件数を増やす必要がある地域の大学に余力があれば、協力できるようにするという。ただし、新型コロナの検査には実験をする人が感染予防のための研修を受ける必要などが出てくる可能性もある。京都大iPS細胞研究所の山中伸弥教授も6日、安倍晋三首相とともに出演したインターネット番組で、「PCR検査の機器や技師の不足が今後の課題」と指摘。「私の提案」として自身が所長を務めるiPS研が活用できると話し、「新型コロナのPCR検査をできる機器が30台くらいある」と明かしていた。その上で、「その機器を使って普段からPCRをしている研究員たちが何十人かいるが、自粛で多くの人が実験せずに在宅になっている。大学の研究所などの力をうまく利用すればPCRの検査能力は2万をこえて、10万くらいいける可能性がある。研究者として検査能力の向上に貢献したい」と話していた。(戸田政考、合田禄)

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