神奈川県、コロナ医療体制を拡充 小児保護病院など新設


神奈川県は新型コロナウイルスの感染拡大に対する医療体制を拡充する。12日、乳幼児を含む子どもの中等症患者を受け入れる「小児コロナ受入医療機関」を設置すると発表した。中等症患者の受け入れ先も増やす。新規感染者は減少傾向でベッド数には余裕があるものの、「第2波」に備えた態勢整備を急ぐ。小児コロナ受入医療機関は県内に30~40カ所設ける。県内を7ブロックに分け、それぞれに中心的な役割を担う拠点医療機関を1カ所設置し、ブロック内で連携しながら受け入れる。子どもの治療は投薬や人工呼吸器の扱い方などが大人と異なるケースもある。合わせて親が感染し入院した場合、陰性の子どもを一時的に預かる施設も新設した。県内3カ所で定員計19人分を確保した。一人ずつ個室で預かり、感染症対策の訓練を受けた児童相談所の職員らが対応する。黒岩祐治知事は12日の記者会見で「子どもが一人で自宅にいるわけにはいかず、切実に困ることになる。受け入れ先があるのは安全安心につながる」と述べた。県は感染拡大による医療崩壊を防ごうと「神奈川モデル」と名付けた医療体制を構築している。役割分担を明確にし、効率的な治療をはかるのが目的だ。軽症者や症状がない患者はホテルなどで静養する一方、中等症の患者を集中的に受け入れる「重点医療機関」を整備。重点医療機関は建設予定も含めて計17カ所、病床数は計約1200床になるという。症状だけでなく、患者の状況に応じた対応も進めている。18日をめどに精神疾患が重いコロナ患者を受け入れる「精神科コロナ重点医療機関」の運用も始める。感染の有無を調べる検査体制の整備も急務だ。医師会や各市町村と連携して進めているPCR集合検査場は5月中に17カ所に増やし、さらに追加する。PCR検査数は現在の一日200~300件から「600~700件程度に増える」(黒岩知事)見通しだという。足元でみると、県内の新規感染者数は減少傾向にある。4月11日の76人をピークに最近は10人前後にとどまる。県によると、入院者数は11日時点で196人と、重点医療機関の病床数の2割以下だ。ただ緊急事態宣言が解除されると再び増加に転じる恐れはある。北海道や韓国では感染の第2波が発生した。黒岩知事は「油断はできない。あっという間に感染爆発することもあるため、これから先は本当に慎重にやっていかなければならない」と述べた。

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