<コロナストーム ぎふ第1波の現場から>(5)限界 保健環境研究所


目を凝らし、樹脂製の容器(高さ約七センチ)のキャップを慎重に回す。液体をスポイトで吸い出し、別の容器に〇・一ミリリットル入れ試薬を混ぜる。含まれるウイルスが微量でも体内に入れば感染する。三時間で二十検体分。一瞬も気が抜けない。県保健環境研究所(各務原市、保環研)で厳格に管理された、バイオセーフティーレベル3の「安全実験室」。新型コロナウイルス感染が疑われる人の鼻から綿棒でぬぐった粘液などの検体が、県内各地から運ばれる。感染の有無を確認するPCR検査の最前線だ。検体を検査機器にかけるための細かい前処理は、多くが手作業で行われる。白い防護服で全身を覆った検査員が、最も恐れるのが「交差汚染」と呼ばれるミスだ。手袋などに付着したウイルスが他の検体に混ざれば、誤判定につながる恐れがある。緊張感の中、検査員が集中力を保てるのは一日三時間が限界という。四月末までに県内で行われたPCR検査は、約三千件。大半を岐阜市衛生試験所と分担した保環研では、十二、三人の臨床検査技師や獣医師が交代で作業した。前処理された検体を機器にかけ、判定結果が出るまでさら…関連キーワード

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