大腸がんを高い確率で発症する「家族性大腸腺腫症」(FAP)の患者に抗炎症剤のアスピリンを継続的に投与したところ、大腸がんになる恐れがあるポリープの発生を抑える効果が得られたと、京都府立医科大などの研究チームが発表した。論文が2日、欧州の医学誌電子版に掲載された。
FAPは遺伝子変異によって大腸内に多くのポリープができ、60歳ごろまでにほぼ100%の確率でがんを発症する。国内の患者は約7300人で、がんを予防するには大腸の全摘出しかない。
研究チームは、大腸を温存した上で、直径5ミリ以上のポリープを切除した成人患者102人を全国の大学病院などから集めた。うち52人には偽薬を8カ月間服用してもらったところ、半数がポリープを再発していた。
一方で、50人はアスピリン100ミリグラムを毎日服用し、再発が確認されたのは15人だった。アスピリンの服用は大腸がんが多く発症する直腸などの左側大腸で高い効果が見られた。 (C)時事通信社