口から吐く息で新型コロナ感染の有無を検査 東北大と島津製作所が開発


東北大と島津製作所(京都市)は16日、口から吐く息で新型コロナウイルスの感染の有無を調べる検査法を共同で開発したと発表した。呼気に含まれるウイルスやたんぱく質を解析する手法を用いた世界初の技術で、PCR検査と同程度の精度があり、約1時間で結果が出るほか、重症化のリスクなども診断できるという。今後、自宅での検査も想定して検査機器の小型化を進め、臨床研究を通して実用化を急ぐ。この検査法は「呼気オミックス」と呼ばれる最先端技術を使い、約5分間息を集めて分析装置にかけて判定する。肺炎の重症度や症状の予測のほか、新型コロナ以外のウイルスの検査もできるという。呼気に含まれている健康状態に関する情報を分析する手法を応用し、生活習慣病やがんの診断、遠隔医療などに生かすことも目指す。鼻の奥の粘膜から検体を採取するPCR検査は時間と手間がかかるのが課題になっている。共同研究を進める東北大の赤池孝章教授は「呼気中の『エアロゾル』を分析対象として新型コロナウイルスを検出する技術は成功したら世界で初となる」と説明し、島津製作所の上田輝久社長は「研究者のネットワークを作り、1年後をめどに基礎的な技術を完成させたい」と話した。【滝沢一誠】

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