千葉大学、コロナ重症化予測システム開発へ


千葉大学大学院医学研究院と同大医学部付属病院は新型コロナウイルスの重症化を予測するシステムの開発に向け、コロナ感染者を対象とした臨床研究を始める。重症化につながる血管関連の疾患に関係する分子に着目し、感染者の血液を解析して重症化との関連性を調べる。コロナ感染で生じた血管の炎症が脳卒中などの血栓症や血管炎を引き起こし、重症化する症例が国内外で相次いでいるという。従来の研究で、血小板に含まれるたんぱく質の分子がそれらの疾患と関係していることが分かっており、分子を重症化の指標として活用できるか検証する。患者の入院時から定期的に採血し、血液中の分子濃度を測定。症状の重さの違いによる分子量の差、重症化する前の濃度などを調べる。指標として活用できると確認できれば、検査キットなど重症化の可能性を早期に判定するシステムに活用する。将来は重症化のメカニズム解明、分子に働きかける治療法の確立などにもつなげたい考えだ。調査対象は県内外の11病院に入院する患者100人。一部の患者からはすでに採血しており、近く本格的な解析作業に入る。国立研究開発法人・日本医療研究開発機構(AMED)の補助事業に採択されており、2020年中に指標としての妥当性を判断する。付属病院の横手幸太郎院長は「重症化を予測する新たな指標ができれば患者はより早期に適切な医療を受けられる」と指摘。重症患者を減らすことで医療機関の負担も軽減し「感染が拡大しても医療崩壊を防げる」と期待する。

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