常駐の医師がいない島の医療充実を図ろうと、笠岡市立市民病院(同市笠岡)は5日、笠岡諸島・白石島との間をオンラインで結んだ遠隔診療をスタートさせた。県医師会の協力を得て皮膚科で試験的に行い、今後、皮膚科がない他の島や他の診療科への拡充も検討していく。 白石島の診療所には内科医が週1日、皮膚科医が月1日、同病院から訪問している。皮膚科は毎回数人から10人程度が利用しており、訪問に加えて遠隔診療を月1回実施し、経過観察や薬の処方などを行う。通信費や機材整備費用97万円は県医師会が負担する。 初日は、看護師がタブレット端末を持参して診療所と患者宅を訪れた。市民病院で待機していた高須賀琴巳医師が、端末の画面に映し出された頭や足の患部を見て「良くなっているけど赤いところがある」などと伝えた。2人を診察し、治療痕を観察した1人にかゆみ止めを処方した。 笠岡諸島の高齢化率は約72%に達する。高須賀医師は「高齢者は医療機関に足を運ぶのも一苦労。遠隔診療は安心して暮らせるツールになり、医師不足解消にもつながる」と強調。診療所で受診した女性(89)は「笠岡の街に出て行かなくても診てもらえるのは助かる」と話していた。